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  どこの工業団地に入居するかというロケーションの問題は、重要なポイントのひとつと言えるだろう。まず、自社の製品とその原料について考えてみる必要がある。原料はどこから仕入れ、製品はどこへ送るのか。また、原料と製品ではどちらが重いのか。もし、原料が製品よりも重ければ工場は原料の仕入先の近くに、その逆なら製品の送り先に近いほうが望ましいだろう。

  また、製品が輸出用の場合は、航空便を使うのか、船便を使うのかというのもロケーション選びのポイントになる。航空便を使うなら空港へのアクセスが良いアユタヤ地区の工業団地、船便を使うならレムチャバン深海港に近い東部海岸地区の工業団地、というように、輸送方法によって適する工業団地も変わってくる。

  IEAT系列団地に入居する場合は、次の優遇恩典を受けることができる。
・ 内外資を問わず、土地取得が可
・ 外国人技能/技術者、専門家の雇用就業滞在許可、ならびに配偶者/扶養家族の同居滞在許可
・ 投下資本や受益配当金等の外国送金または持ち出し

  純民間団地に入居する場合は、入居に伴う恩典はひとつもなく、投資奨励恩典を得るためには自らの有資格事業ごとにBOI奨励恩典の取得が不可欠である。また外資企業の場合、土地取得にはBOI認可が大前提となってくる。

  IEAT系列団地に入居の場合、操業開始までに取得を要する全ての許認可類は、IEATのワンストップサービス窓口で一元化処理される。申請内容に不備がない限り、実働3日間、遅くとも1週間以内でスピード決済交付されている。

  純民間団地に入居し、かつBOI奨励認可事業の場合は、BOI窓口を通して所定の手続きに従う。BOIからの認可を受けていない事業の場合は、団地所在県の担当行政窓口にて申請、取得する。

  海外からの投資状況を反映してか、工業団地が提供するトータルサービスの充足度の改善は目覚しく、入居者ニーズや顧客の満足度に応えるまで徹底した管理を行なっているところもある。特に、投資の地方分散化政策の下で中心的な役割を担う第2、3ゾーン立地の団地群での充実ぶりが顕著である。こうした新興団地では、外国人向けも含めた居住施設を団地内に設置して、遠隔地勤務対策に積極的に取り組んでいる。しかし一方では、過剰供給のあおりを受けた後発組の一部の団地群では、分譲残を抱えたまま経営苦難にあえぐあまり、インフラなどのサービス提供に支障を来たしている事例もある。IEAT系列団地では、こうした事態に陥って団地インフラやサービス運営維持が機能しなくなった場合、IEATにあらかじめ加入して積み立てた非常時救済基金を使って、IEATが当該団地に代わって救援する制度があるが、そうした団地に入居しないよう、事前の情報収集は綿密に行ないたい。

  また、多くの分譲残を抱えて販売不振にあえぐ後発組の団地群では、土地権利書の譲渡問題が発生している。工業団地のほとんどの分譲用地には、債権者による抵当権が設定されている。本来であれば土地権利書の譲渡にあたって解除されるべき抵当権が、債務者である当該団地の資金難から、債権者側との抵当権解約がスムーズに行なわれず、それが大きな問題に発展している。こうした状況を未然に防ぐためには、用地の選定はもちろんのこと、土地売買契約の締結にあたっては、土地所有権者のみだけではなく、抵当権の設定状況の確認調査を充分に行ない、抵当権の解約条件等も明確にした上で、売り手側の譲渡不履行や譲渡遅延といった行為に対して対策を講じておきたい。

  一方、需要の急増に追われる団地群では、にわか拡張造成を行なって充足対応が行なわれる場合、団地側の造成工事と入居者のサイト建設工事が同時に進行してしまう場合がある。結果として所要許認可類の遅延が発生するため、土地権利書譲渡への隘路(あいろ)となって事態が長期化することが多い。対策としては、売り手側である団地より当該入居区間の現状や、実態の情報開示を求めると共に、専門家等に依頼して事実関係の裏付け調査を行なうのが望ましい。これによって得られた情報を元に、不測の事態の回避策をあらかじめ土地取得計画に盛り込んでおくとよいだろう。

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