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政治デモ長期化で経済にも影響 政府は経済刺激策を導入へ

 ティーラット・ラタナセーウィー政府報道官は一二月四日、政府が新たな経済刺激策を今年終わり、または来年初めにも導入すると発表した。キティラット・ナ・ラノーン副首相兼財務相が、国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局や関連政府機関と協議して刺激策をとりまとめる。政治デモの長期化が投資家の信頼感にも影響を及ぼしていることから、投資促進と雇用創出を目標とした刺激策を導入する。

 ティーラット報道官は、経済閣僚会議で刺激策を決定すると述べている。四日に開いた経済閣僚会議で、首相は企業の生産性改善の障害となっている規制の緩和を対策に組み込むよう指示したという。この日の会議では、足元の景気が減速していることから、経済刺激策を導入しなければ低成長が続くとの認識で一致した。タイ中央銀行は直近の政策決定会合で0・25%幅の利下げを行なっており、プラサーン・トライラットウォラクン総裁は、経済の刺激には金融政策を用いるほうが効果は大きいと説明している。

 恩赦法案への反対から始まった反政府デモは、一日、二日に総理府本部付近での警官隊との衝突で多数の負傷者を出す事態となったが、三日には警官隊が撤収し、デモ隊は総理府本部付近に集まった。四日には翌日の国王陛下のお誕生日を前に一時、休戦となり、デモ隊はデモ集会の拠点を確保しつつ、国王誕生日慶祝行事に参加した。しかし六日には、デモ隊が行動再開を宣言しており、政治デモはさらに長期化する兆しを見せている。

 タイ商業会議所(TCC)など経済界7団体は二日、政治デモの先鋭化による政治危機が、国と経済にマイナスの影響を及ぼすことを指摘し、平和的で民主的な解決策を見出す努力を関係者に求める共同声明を発している。TCCのイサラ・ウォンクソンキット会頭、タイ工業連盟(FTI)のパユンサック・チャートスティポン会長、タイ銀行協会のチャートシリ・ソーポンパニット会長、タイ観光産業連合会のピヤマン・テーチャパイブーン会長、タイ資本市場連合会のパイブーン・ナリントランカーン会長、タイ証券取引所(SET)のチャラムポン・チョーティカサティアン所長は共同記者会見を開き、政府と反政府デモ隊の双方に話し合い解決を求め、経済界が学界、報道機関と共同で当事者間協議を支援していく用意があることを明らかにした。

 〇六年から続くタクシン派と反タクシン派の政治対立は深まる一方で、タクシン派政権では反タクシン派が、反タクシン派政権ではタクシン派が大規模な反政府デモを繰り返しており、今回の反政府デモが収束したとしても、対立を根本原因から解決しない限り、また同じことが繰り返されることは明らか。経済界は、足元の景気が減速し、中長期的にもASEANの統合を控えて国の競争力の強化が焦眉となる中、政治対立の連鎖はそろそろ断ち切らなければ、取り返しがつかなくなるとの危機感を抱いている。

 TCCのイサラ会頭は、これより前、政治対立が経済にも悪影響を及ぼしつつあることを警戒。双方の話し合い後の下院解散を提案していた。しかし二日の共同声明では下院の解散は求めていない。イサラ会頭は、経済3団体常任合同委員会が政府と反政府デモ隊の協議をアレンジするとしており、下院が解散になるかどうかはこの協議の結果次第だと説明している。



日付 : 2013年12月09日

By : 週刊タイ経済

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