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タイ鉄鋼業界が懸念 中国の製造機械流入

 ここ数年中国では鉄鋼の過剰生産を緩和するため小規模な製鉄所の強制的な閉鎖が相次いでいる。同国の鉄鋼生産能力は年間8億㌧とされているが、需要量は7億㌧にとどまっており、同国政府は2020年までに低質鉄鋼品の生産量を年間1億~1億5000万㌧縮小させる方向で、基準以下の製鉄所の強制閉鎖を断行している。

 一方、タイは世界第4位の鉄鋼輸入国で、中国から年間500万㌧ほどが輸入されている。タイ鉄鋼インスティチュートによれば、最近では強制閉鎖された中国の製鉄所で使われなくなった低質の機械設備のタイへの輸入が急速に拡大しており、一部の中国企業からは同インスティチュートに対しても機械設備の買い手を探すよう依頼が来ているという。

 同インスティチュートのソムサック・リーサワットラクン名誉理事長は「この動きを放置すると国産鉄鋼品の品質低下に繋がる可能性がある」として警鐘を鳴らしている。「中国製の低質な設備は、低質な鉄鋼品しか生産できず、その用途は限られるためにメリットは少ない。また大気汚染にも繋がる酷い代物」(同理事長)という。

 同インスティチュートでは、国の公共事業を受注した建設会社に対し、鉄鋼建材のローカルコンテンツ50%を維持するよう義務付けることで、国産鉄鋼品の需要拡大を図るよう政府に提言しており、年間約1800万㌧の内需をさらに拡大させていくことを期待している。


日付 : 2017年01月16日

By : 週刊タイ経済

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