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天然ゴム協会 今年のゴム相場は反騰 世界経済回復で需給改善

 タイ天然ゴム協会のチャイヨット・シンチャルンクン会長は、今年の天然ゴム相場について上昇を始めるとの楽観的な見方を示している。世界経済の回復にともないゴムの需要は供給量を超えると見ている。

 同会長は天然ゴムの需要そのものについては、大口需要家である自動車工業の失速が続くとの見立てから前年並みにとどまると見ている。しかし供給のほうは、世界最大のゴム輸出国であるタイで主産地の南部地方が年初に水害に襲われたことや、主要ゴム生産国での供給抑制のための施策から細ると見ている。その結果、需給は引き締まり、相場は反騰すると予想した。

 南部を襲った水害については、ゴムの供給量がどの程度減るのか正確な予測は難しいが、商社や当局などは少なくとも総生産高の5%が市場から消えると見ている。タイの天然ゴム生産量は年間約450万㌧。このうち8割が南部地方で生産されている。気象局は南部地方の降雨が1月終わりまで続くと予想している。

 南部地方は2月初め頃から乾季を迎え、ゴムノキの葉が落ち、乳液の採取量が細る時期を迎える。乾季は4月まで続くため、この間はゴムの市場出荷量も細り、ゴムの相場は上昇が予想される。

 チャイヨット会長は今年のゴム産業に関し、新興市場国や途上国経済の成長、緩やかな世界規模での景気の回復の恩恵を受けて16年よりは良くなると見ている。ただしゴムの生産量の約70%を需要する自動車業界は前年並みの成長にとどまりそう。タイ国内の今年の自動車生産台数は200万台が目標となっている。

 世界の天然ゴム市況は、2011年2月に史上最高値となる1㌔㌘あたり6・4㌦まで高騰したが、その後は最大の需要国である中国経済の変調から急落し、16年半ばには1・10㌦まで下げている。しかしこれを大底として相場は昨年最終四半期より回復基調にある。ゴム相場は原油相場にも連動するため、OPEC諸国と非OPEC諸国による日量120万バレルの減産合意は天然ゴム産業にとってもビッグニュースとなっている。原油供給の削減は合成ゴムの価格上昇をもたらし、天然ゴムの需要が増える結果になる。

 こうした支援材料に加え、タイを含む天然ゴムの主要生産国が供給量調整のため、樹齢の高いゴムノキの伐採を奨励している。ゴムノキは乳液の採取が可能になるまで7年を要するため、ゴムの供給量は今後数年間は抑制されることになる。

 業界の重鎮で、タイ天然ゴム協会前会長のラックチャイ・キティポン氏(タイフア・ラバー社CEO)は、17年平均のゴム相場が1㌔㌘あたり2㌦を上回ると予測している。


日付 : 2017年01月16日

By : 週刊タイ経済

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