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電気自動車の投資優遇 ハイブリッド車は対象外

 ソムチャイ・ハーンヒラン工業省次官は3日、タイ開発研究所(TDRI)が主催したセミナーで講演し、政府が計画している電気自動車(EV)組立に対する投資優遇策について、ハイブリッド車は対象に含めないことを改めて強調した。プラユット政府は8月にEV生産に対する投資奨励の原則を閣議決定しており、具体的な優遇策や投資優遇を得るための諸条件について、投資委員会(BOI)が調査研究を進めている。

 EV組立で投資奨励を受けるメーカーは5年後には基幹部品を内製化することを条件として、当初はバッテリーやモーターなどの基幹部品の輸入関税を免除することを想定している。シリルット・チュラカラット工業経済事務局長がこのほど明らかにしたところによれば、投資委員会(BOI)はEVの国内組立に対する投資優遇策をとりまとめた。近く首相を議長に開くBOI本会議に提出する。

 国内での部品生産にも投資することを条件に自動車メーカーに8年間の法人所得税免除特典を付与する。基本は3年間の免除で、モーターなどBOIが定める6種の主要部品の国産化を進める場合には、主要部品1つにつき1年間の法人所得税免除を追加し、最長で8年とする。

 タイ国トヨタ自動車のスパラット・シースワンナンクン上級副社長は、政府がバッテリーのみで動くEVだけでなく、ハイブリッド車を投資奨励の対象に加えるべきだと主張している。ハイブリッド車はエンジンのみで動く一般の自動車と比べて、あまり価格差がなく、現状では実用性が最も大きいこと、さらにはバッテリーやモーターなどのいくつかのコア技術はEVと共有していること、EVが本格的な普及にあたってまだ多くの制約を抱えていることを指摘し、最終的にEVに移行するとしても、段階を踏んで開発していくのが賢明だとしている。

 アヌソン・タンマチャイ・ランシット大学経済学部長は4日に同大学が開いたセミナーで講演し、政府の電気自動車産業振興政策について、大胆すぎるし、漠然としていると批判した。36年までに年間120万台生産という大目標だけが一人歩きしているが、政府は部品メーカー、労働者、自動車メーカーに及ぼす負の影響について詳細な研究をする必要があるとしている。

 アヌソン氏は、タイの自動車工業とエネルギー産業の開発は、既存の政策がまだ推進中の段階で、特に自動車工業ではエコカー2のプロジェクトが始まったばかりであることを指摘。EVの生産には10~20年の開発計画が必要で、今すぐにEVを国内生産しようとしても難しいとした。


日付 : 2016年10月10日

By : 週刊タイ経済

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