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クラレ、住商、PTTGC ブタジエン誘導品で合弁

 日本のクラレ、住友商事とタイの石化最大手、PTTグローバル・ケミカル(PTTGC)は、ブタジエン誘導品の製造・販売で合弁会社を立ち上げる。13日に3社が同製品の製造販売事業に関する詳細検討を進めるための合意書を締結した。クラレの伊藤正明社長、住友商事の藤田昌宏専務執行役員、PTTGCのスパッタナポン・プンミーチャオ社長兼CEOが合意書に署名した=写真。

 3社は昨年9月に覚書を締結し、タイでのブタジエン誘導品事業の協業可能性を検討してきた。その結果、合弁会社の設立で基本合意し、生産設備の基本設計を含むプロジェクトの詳細について検討を開始することで合意した。3社による合弁事業の最終投資判断は17年後半を予定している。出資比率などの詳細は検討段階としている。

 製造拠点はラヨン県マプタプットのヘマラート・イースタン工業団地を予定。20年をメドに高耐熱性ポリアミド樹脂(PA9T)、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー(HSBC)の設備稼働を目標に詳細な事業化調査を進めていく。年産能力はそれぞれ1万3000㌧、1万6000㌧を予定している。原料となるブタジエンはPTTGCが供給する。PTTGCはヘマラート・イースタン工業団地内に石化コンプレックスを開発しており、ブタジエンのプラントも同コンプレックス内にある。ブタジエン誘導品の製造技術はクラレが、販売マーケティングのノウハウとチャネルは住友商事が提供する。

 ブタジエン誘導品は基礎化学原料の一つであるブタジエンから化学反応によって生成される石油化学製品。PA9Tはポリアミド系スーパーエンジニアリング・プラスチックで、低吸水性、高耐熱性、高耐薬品性や寸法精度に優れた特長があり、電機・電子部品や自動車部品へと用途を広げている。一方、HSBCは広い温度範囲でゴムのような弾性を示す一方で、加熱することでプラスチックのように成形できる素材。耐熱性、耐候性、耐薬品性に優れ、高い電気絶縁性を有している。配合を変えることで、自動車部品、電機部品、日用品、医療器具など幅広い用途がある。

 PTTGCのスパッタナポン社長は、基礎化学原料分野が特にアジアで激しい競争に直面していることを指摘。競争を避けるためには、より付加価値の高い製品にシフトしていく必要があるとしている。現政府は、こうした高度技術を要する付加価値の高い製品の製造、産業の高度化を求めており、事業地が東部経済回廊(EEC)となることからも、この合弁プロジェクトには最長15年間の法人税免除の投資優遇が付与される見通し。


日付 : 2016年09月19日

By : 週刊タイ経済

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