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BOI企業の所得税計算 経済界が明確化要求 ミネベアの敗訴受け

 投資委員会(BOI)の投資奨励認可企業の所得税計算方法をめぐるBOI事務局と国税局の見解の相違について、経済界が政府に明確化を求めている。タイ工業連盟(FTI)は、この問題で影響を受けるBOI認可企業は百社以上にのぼり、放置すれば外国企業のタイ投資への信頼感に大きな影響を及ぼすと懸念している。

 BOI企業の所得税の問題では、最高裁判所がこの5月16日に、ミネベア(タイランド)社に対し追加納税を命じる判決を下している。この裁判は、国税局が08年8月にミネベアの所得税納税の不足分5億バーツ余を指摘したことが発端。ミネベア側は不服申立したが認められず、09年8月に中央租税裁判所に訴え、10年10月に勝訴していた。しかし国税局が最高裁に上訴し、その判決では一転して敗訴が確定している。

 争点はBOI企業に認められてきた法人所得税計算をめぐる解釈。旧投資第3区、8年間の法人税免除期間のケースであれば、BOIの解釈は①法人税免除期間中、同一年における投資認可事業の損失を非認可事業の利益と相殺できる、②まだ損失が残る場合は繰り越して、9年目以降の利益と相殺できる。

 一方、国税局の見解は①法人税免除期間中、複数の認可事業がある場合は損益を合算し、損失であれば9年目以降に繰り越す。②繰り越す場合、9年目以降の50%減税を受ける認可事業の利益とまず相殺し、まだ繰越損失があれば50%減税を受けない非認可事業の利益と相殺できる、というもの。

 この国税局の見解は09年2月に「投資奨励事業の損失を法人所得税免除期間後に生じた利益と相殺する場合の法人所得税についての租税判定委員会の決定第38/2552号」として正式に出されている。影響を受けるのは、税免除期間に認可事業に損失があったBOI認可企業。

 FTIのチェン・ナムチャイシリ会長は、ジェトロとバンコク日本人商工会議所からこの問題の解決要請があったことを明らかにしている。同会長は投資家の信頼感への影響を防ぐため、BOIが関係機関の代表を呼んで議論し、BOI委員長であるプラユット首相が最終判断を下すべきだと語っている。また8月1日が追徴課税猶予の期限となっており、それまでに決定できない場合はこの期日を延長するよう要求した。


日付 : 2016年07月11日

By : 週刊タイ経済

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