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建設増で鋼材需要が増加 格安住宅の供給増見越し 棒鋼価格が上昇

 ウィブンラサナ・ルアムラック内国取引局長は、同局が棒鋼などの鉄鋼価格を監視していることを明らかにした。ここ数か月の間に棒鋼の価格は1㌔㌘あたり17~18バーツから20~21バーツに値上がりしている。鉄鋼の国際市況の上昇に加え、過去の廉価な中国産鋼材の大量輸入で国内鉄鋼メーカーが減産を余儀なくされている中、政府が各種のインフラ投資プロジェクトを開始し、低所得層に格安住宅を供給するプラチャーラット住宅の政策を打ち出していることで、鋼材の需要が増大することを見越して、鋼材の卸・小売業者が強気に出ていることが主因だ。商業省は国内の鋼材の取引業者と協議し、鋼材の供給が国内需要に対し、適正な水準にあることを確認している。

 今年のタイ国内の鉄鋼需要は、主に建設投資の拡大により上向く見通し。特に政府部門のインフラ投資での鋼材需要増が期待されている。このほかにも自動車工業でも工場の拡張を受け、高級鋼板の国内需要が増えそうで、加えて輸出供給も拡大する見通し。一般鋼材に関しては価格競争が激しくなっており、鉄鋼各社は高品位製品への生産シフトを進めている。

 カシコン・リサーチ・センター社(KRC)は4月末に発表したレポートで16年のタイの鉄鋼需要を1665~1700万㌧、前年比で0・5%減~1・5%増になると予測している。タイ鉄鋼インスティチュートによると、建設用鋼材の消費量は今年2月に前年同月比12・0%増と、これより前の5か月間平均の17・4%減から上向いた。

 政府のインフラ事業のほかにも、民間の住宅開発でも需要は高まる見通し。政府はプラチャーラット住宅政策の下、格安住宅を開発する民間不動産デベロッパー向けに300億バーツの低利融資枠を設けている。KRCは建設業界での16年の鋼材需要量を842万~860万㌧、15年の823万㌧から2・3~4・5%増になると予測している。

 タイの鉄鋼消費量は年間約1600万㌧、うち国内供給は500万㌧ほどで、残りは輸入に頼っている。タイの鉄鋼メーカーは外国から輸入される安価な鋼材との競争で劣勢にある。昨年のタイの鋼管輸入数量は67万1498㌧を数え、10年時点の38万8564㌧から73%も増えている。

 鋼材の取引商は国内鋼材価格の値上がりについて、国内需要の増加と中国の減産による受給引き締まりに加え、バーツ安による輸入コストの上昇が一因と説明している。ウィブンラサナ内国取引局長は、国内の鉄鋼メーカーの設備稼働率が50%程度で、増産が可能なことを指摘、鋼材の供給不足は生じないとしている。また価格については、値上げをする場合には同局に1週間前に届け出ることが義務付けられていると説明している。


日付 : 2016年05月16日

By : 週刊タイ経済

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