ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

自動車、電機・電子、デジタル… クラスター別に特別優遇 投資誘致でソムキット副首相訪日へ

 ソムキット・チャトゥシーピタック副首相は、クラスター形態での特別経済区(SEZ)開発での日本企業の投資誘致のため、10月にも日本を訪問する。政府は22日の閣議で投資委員会(BOI)事務局が申請したクラスター形態での特別経済区開発に向けた投資優遇措置を承認した。第1フェーズで開発するのは繊維、IT、自動車・同部品、電機・電子、石油化学・化学、食品加工、天然ゴム加工の7業種。バリュー・チェーンを強化し、既存の事業者や新規事業者の投資を引き付けることでタイの投資分野のポテンシャルの底上げを狙う。

 プラユット政府は昨年の発足以来、経済分野では対日関係を重視してきた。首相の訪日回数はすでに3回を数える。ソムキット副首相の日本訪問は就任後初めての外遊となるもの。ソムキット氏は、知日派としても知られる。22日には日系企業の幹部を前にスピーチし、外国企業による土地所有を認めるなどクラスターへの投資を手厚くする政策を検討していることを伝えている。10月にも日本でロードショーを行なう予定で、クラスター政策について日本企業に説明し、投資を呼びかける。

 プラユット首相は、国境県でのSEZに加え、内陸でのクラスター形態のSEZの開発政策に取り組むよう求めていた。国境県のSEZが近隣国の原料や労働力の利用を想定した労働集約型産業の集積を見込む一方、クラスター形態のSEZは研究開発事業、高度技術を使用する技術集約的産業の集積を目指している。特別経済区開発政策戦略委員会とソムキット副首相は、BOI事務局、国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局、工業省にクラスター形態のSEZ政策をとりまとめるよう指示していた。

 クラスターの中でも自動車・同部品、電機・電子、石油化学・環境にやさしい化学品、デジタルは高度技術を必要とし、将来性も高いことから「スーパークラスター」に位置づける。農産加工と繊維・衣料は目標とする「その他クラスター」とする。このほかにクラスター開発に欠かせないナレッジ・ベースの事業やロジスティクス事業などのインフラ、個々のクラスターの重要な川上事業、サポーティング・インダストリーについても特別に奨励するターゲット事業に位置づける。

 こうしたクラスター開発を成功させるためには優遇特典、人材・技術開発、インフラ整備、障害となっている法規の解決、資金支援が必要。スーパークラスターについては財務省が特に重要で将来性が認められると判断する事業に対しては10~15年の法人所得税免除特典を付与するとしている。タイ人・外国人の両方でクラスター内で勤務する国際レベルの専門家の個人所得税も免除する。外国人専門家の場合には居住ビザの付与も検討する。また外資が奨励を受けた事業経営のために土地を所有することも認める。

 その他クラスターに関しても外国人専門家の場合には居住権の付与も検討する。外資の土地所有も認める。

 クラスター開発を支援する事業については、ナレッジベース事業は8年間の金額制限なしでの法人所得税免除とさらに5年間の50%控除を設ける。物流事業は3~8年の法人所得税免除とさらに5年間の50%控除をつける。


日付 : 2015年09月28日

By : 週刊タイ経済

登録