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第2四半期GDP成長率 2.8%増に減速 世界経済の影響受け、物品輸出収縮

 国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局が8月17日に発表した国内総生産(GDP)統計によれば、2015年第2四半期(4~6月)にGDP成長率は2・8%増となり、第1四半期の3・0%増から減速した。支出面では政府投資とサービス輸出が高い伸びを記録し、家計消費と政府消費の成長の持続が支援材料となった一方で、物品輸出は世界経済の減速の影響を受けて収縮した。生産面では、ホテル・レストラン業、建設業が高い伸びとなり、その他サービス分野も成長が続いている一方で農林水産業は旱魃問題による影響を受けて収縮した。また製造業の生産も輸出の減少にともない収縮した。季節調整済みの前四半期比では0・4%増。上半期(1~6月)のタイ経済は2・9%増となり、2014年上半期の0・2%増と2014年下半期の1・6%増から上向いた。

 家計消費支出は1・5%増となった。付加価値税収、消費財輸入、電力消費量がそれぞれ1・4%、4・7%、2・4%増加した。一方で乗用車の販売台数は減少した。消費者の景気全般に対する信頼感は64・9ポイントと前の四半期の68・4ポイントを下回った。

 2015年上半期の家計消費支出は2・0%増で、1・0%減だった前年同期から上向いた。

 総固定資本形成(投資)は2・5%増。政府投資は24・7%増と高い伸びが持続している。政府部門の投資が31・2%増、国営企業の投資が2・7%増となった。一方で民間投資は3・4%減少した。設備投資の減少によるもので、輸送機械への投資が特にトラックと商用車で減少した。ピックアップ車のモデルチェンジという一時的な要因による。建設投資は2・7%増で、前の四半期の1・8%増から加速した。民間事業者の業況判断指数は48・2ポイントとなり、前の四半期の50・3ポイントから悪化に転じた。上半期の固定資本形成は6・4%増。政府投資が30・9%増となった一方、民間投資は横ばいだった。

 物品輸出は526億5700万㌦、前年同期比5・5%減となった。輸出数量が3・8%減少し、輸出価格は1・8%下落した。主要貿易相手国の経済の不振、貿易相手国通貨、特にユーロと日本円の下落、世界市場の原油と農産物価格の下落にともなう輸出価格の下落、ピックアップ・トラックのモデルチェンジという一時的な要因による自動車輸出の減少、タイの欧州向け輸出品の特恵関税(GSP)の打ち切りが響いている。上半期の輸出額は1056億5400万㌦で、4・9%減。輸出数量が3・2%減少し、輸出価格は1・8%下落した。

 製造業、農林水産業はマイナス成長

 製造業は0・7%減となった。輸出向け製造業の生産の減少によるもので、国内消費向けの製造業の生産は増加した。生産が減少したのは自動車、化学品、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、繊維、ラジオ・TV、集積回路、電化製品、ゴム・同製品など。生産が増加したのは石油製品など。設備稼働率はこの四半期平均で55・5%だった。上半期の製造業の成長率は0・9%増。工業生産指数は3・7%減で、設備稼働率は58・8%だった。

 農林水産業の成長率は5・9%減で、前の四半期の4・7%減に引き続き収縮した。旱魃による主要作物の収量の減少によるもので、籾米、天然ゴム、パーム椰子の生産が減少した。農産物の価格も下落した。収量減と価格の下落のため農業所得は14・2%収縮した。上半期の農林水産業の成長率は5・3%増で、農業生産指数、農産物価格指数と農業所得はそれぞれ順に6・1%、6・5%、6・1%下落した。


日付 : 2015年08月24日

By : 週刊タイ経済

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