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バーツ相場は33バーツ台に SET指数は1500台割れ

 外為市場は四月末の金融・通貨当局による利下げと資本移動規制の緩和を受け、バーツ安基調が続いている。五月一二日のバーツ相場は直近の6年で最も低い水準まで下落した。アジア域内通貨全般が対ドルで下落していることに同調した動きだが、バーツの下げ幅は最も大きく、テンポも速くなっている。バーツ安は輸出企業にとってプラス材料になるものの、景気回復が遅れる中、投資家のタイ売りが加速していることがバーツ安の一因になっており、SET株価指数は先週半ばに1500ポイントの大台を割り込んだ。

 一二日時点のバーツ相場は1ドル=33・74/33・79バーツ。四月下旬には32バーツ台前半で推移しており、4%近くの下げ幅となっている。タイ中央銀行が四月二九日の金融政策委員会(MPC)の政策決定会合で、政策金利をさらに0・25%幅引き下げて年1・50%に改めたことが引き金となり、バーツ安に拍車がかかっている。通貨ディーラーは34バーツ台まで下がると見ている。

 一二日のタイ株式市場は、銀行やエネルギーの優良株を中心に売られ、SET株価指数終値は1485・72ポイント。前日比で15・58ポイント、率にして1・04%安となり、1500ポイントの大台を割り込んだ。EUが一一日のユーロ圏財務相会合でギリシャへの融資再開を見送り、ギリシャの債務不履行の危機が迫っていること、中国経済の減速、タイの上場企業の収益性悪化への懸念などが売り材料になった。外国人投資家はこの日、12億バーツを売り越している。タイ証券取引所(SET)によれば、外国人投資家は今年三、四月にはタイ株を買い越し、四月は2億1000万バーツを買い越していた。四月末時点でのSET株価指数は1526・74ポイントで、前月末比1・4%増、昨年末比で1・9%増となっていた。四月末時点のSETの時価総額は14兆3200億バーツで、前月末比1・42%増、前年末比3・33%増だった。オルタナティブ・インベストメント市場(mai)の時価総額は4111億2700万バーツで、前月末比3・33%増、昨年末比7・32%増だった。四月末時点のSETの株価収益率(フォワードP/E)は15・20倍、maiのそれは22・32倍。配当利回りはSETが2・93%、maiが0・96%。四月のSETとmaiを合わせた1日あたり平均の売買代金は424億4200万バーツで、前年同期比36%増だった。

 一五日のバーツ相場は中銀参照レートで1ドル=33・569バーツ、SET株価指数は1512・19ポイントとなっている。

 一方、中銀のチャンタワン・スチャリットクン金融市場担当総裁補によれば、資本移動規制緩和は二〇一五~二〇一七年の基本計画の下で漸次実施していくもので、財務大臣の承認を得て、布告や通達の形で公示されていくことになっている。中銀は合わせて非居住者の取引、コーポレート・トレジャリー(企業財務)センター事業などの規制も緩和していくことにしている。

 中銀は四月末に国内の個人・法人の外貨保有の規制を緩和している。国内の金融機関への預金のための外貨購入を残高500万ドルを上限に自由化した。また海外での不動産取得のための海外への外貨送金も5000万ドルを上限に許可した。海外への証券投資では、国内の商業銀行を通じた投資を可能にしたほか、定められた資格を有した投資家が海外の金融機関に預金したり、証券に投資するにあたって国内のブローカーを介さずにできるようにした。また国内の投資家が、国内で募集される外貨に関連する仕組債などに投資できるようにした。さらに証券会社が売買取次業務の範囲内で顧客との間で外貨の売買を行なうことも許可した。

 企業財務センターによるグループ企業の外貨管理も外貨預金、海外でのバーツ借入などの規制を緩和することで、円滑に業務を手がけることができるようにする。送金エージェントや両替商の資格や規制についても緩和する。

 中銀は合わせてバーツ投機規制も緩和した。非居住者(NR)が国内での貿易・投資の裏づけがなく金融機関から借り入れることができるバーツ資金の上限をNR1グループにつき1金融機関あたり6億ドルに緩和した。また海外の非金融機関事業者がタイへの投資のため直接バーツ資金を調達することも認めた。また国境貿易拡大のため近隣諸国の非金融機関事業者が直接バーツ資金を調達することも認めた。


日付 : 2015年05月18日

By : 週刊タイ経済

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