ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

2015年のタイの新車市場 トヨタは下方修正へ

 タイ国トヨタ自動車の棚田京一社長は三月一一日、新型「カムリ」発表会見で、二〇一五年のタイの新車市場について予測を下方修正する必要があるとの見方を示した。一月の新車販売台数の統計値から、新車市場の低迷はまだ続いていることが明らかになったため。一月のタイの新車販売台数は全体で5万9721台、前年同月比12・8%減にとどまっている。シェア1位のトヨタの販売台数は2万94台で、前年同月比23・4%減。棚田社長は月間の販売台数が6万台そこそこならば、通年で92万台の目標達成はあり得ないと述べている。トヨタの今年の販売目標は33万台だが、新車市場全体の不振が続けば目標を下回る可能性がある。

 タイの新車市場は二〇一二年に145万台に達し、二〇一三年も133万台と高水準を記録した。プアタイ党政府が初めての新車購入者に対する物品税還付の政策を実施したことで需要が急増した。しかし二〇一四年はその反動に加え景気の減速、農産物価格の下落による農業所得の減少で、新車市場は前年比33・7%減となる88万1832台まで収縮した。棚田社長は二〇一五年の新車市場は、最悪のシナリオで82万台まで減少し、3年連続で収縮すると見ている。

 棚田社長は、タイ市場が低迷する中、エコカー2計画について開発を継続するとした親会社の方針を示している。トヨタのエコカー2生産プロジェクトは昨年一一月に投資委員会(BOI)の認可を得ている。104億バーツを投じて年間10万台を生産する計画。トヨタは二〇〇七年にタイ政府が開始した最初のエコカー・プロジェクトにも参加している日系5社のうちの1社で、新型「ヤリス」をエコカーとして発売している。タイ工業連盟(FTI)自動車部会のデータによれば、昨年のエコカーの販売台数は9万1342台で、前年比56・7%減となっている。

 トヨタが同日に発表した新型「カムリ」はチャチュンサオ工場で生産するもので、小売価格は132万~190万バーツ。

 一方、日産自動車(タイランド)のプラパット・チュイチョム上級副社長は、エコカー2プロジェクトについて、導入を急がない方針を明らかにしている。日産はタイで最初にエコカーを製造・販売しているが、プラパット氏は、既存のエコカー・メーカーにとっては、まだ最初のエコカー導入から日が浅いため、多額の投資に値しないとしており、既存エコカー事業者のエコカー2の導入は遅れるとの見方を示している。

 日産はエコカー2の生産でBOI認可を得ているが、同副社長は今年または来年にエコカー2プロジェクトを開始する計画はないとしている。BOI認可を得た計画では68億6000万バーツを投じて年間12万3000台のエコカー2と200万個の部品を製造することになっている。

 日産が売り出しているエコカーの「マーチ」と「アルメーラ」は1キロメートル走行あたりの二酸化炭素の排出量が120グラムとなっており、エコカー2の規格を満たしていない。エコカーは物品税率が17%と他の乗用車に比べて優遇されているが、来年初めからの自動車の物品税率の改定で、二酸化炭素排出量が1キロメートル走行につき100グラム未満の乗用車の物品税率は12~14%に下がる。

 日産の昨年のタイ国内新車販売台数は5万9220台で、前年比39・7%減。日産の市場シェアは二〇一三年の8・3%から6・7%に低下した。今年は6万台の販売を目標としている。


日付 : 2015年03月16日

By : 週刊タイ経済

登録