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BOIが新投資戦略のPR 海外ロードショーで使節団が訪日

 投資委員会(BOI)のヒランヤー・スヂナイ事務局長代行は二月一六日、プリディヤトーン・テワクン副首相が団長を務める使節団が二月一七~二一日に日本を訪問すると発表した。BOIにとって今年最初の海外ロードショーとなるもので、使節団にはチャクラモン・パースックワニット工業相やBOIの幹部も同行する。使節団の最大の使命は、今年一月一日から施行になった新投資奨励戦略の詳しい内容説明となる。大規模なセミナーを東京、名古屋、大阪で開催し、2会場合計で1500人以上の参加を見込んでいる。プリディヤトーン副首相は「タイ経済~持続可能な成長を目指して」と題した特別講演も行なう。このほか投資分野での協力促進のため日本の民間部門の団体とも精力的に会合を重ねることにしている。

 プリディヤトーン副首相は、タイが通商のハブとなるべきだとするのが持論で、昨年終わりには、国際統括本部((International Headquarters/IHQ)と国際通商センター(International Trading Centers/ITC)に対する税制優遇措置を閣議決定している。ヒラン
ヤー事務局長代行によれば、IHQとITCの税制優遇について日本の投資家の関心は高い。

 国際統括本部はタイ国内外の自社のグループ企業または支店に対する経営面、技術面のサービス提供、キャッシュ・マネジメント、サポートのために、タイの法律に基づき設立された株式会社のことで、国際商社の形態での事業経営を含む。外国にあるグループ企業に対する経営面または技術面のサービス提供、キャッシュ・マネジメントまたはサポートによる所得、外国にあるグループ企業から受け取る権利料、外国にあるグループ企業から受け取る配当金、外国にあるグループ企業の株式譲渡により得る所得などは法人所得税が免除される。タイ国内のグループ企業に対する経営面または技術面のサービス提供、キャッシュ・マネジメントまたはサポートによる所得やタイ国内にあるグループ企業から受け取る権利料、タイ国内での原材料または部品の調達と外国のグループ企業への販売(イン・アウト)による所得については法人所得税を20%から10%に引き下げる。国際統括本部で勤務する外国人が国際統括本部の雇用により得た所得についても個人所得税を15%に引き下げる。

 国際通商センターは、商品、原材料・部品の調達及び販売、さらには外国の法人に対し国際通商に関連するサービス提供のためにタイの法律に基づき設立された株式会社で、海外での購買及び物品販売による所得について法人所得税を免除する。タイ国内での原材料・部品の調達と外国にあるグループ企業への販売(イン・アウト)による所得については、法人所得税率を20%から10%に引き下げる。

 一方、プラユット首相の八~一〇日の訪日に同行したタイ経済界首脳は二月九日、日本とタイの経済関係のさらなる拡大に向けて、日本貿易振興機構(ジェトロ)との間で、対日投資分野に関する連携強化の覚書(MOC)を締結した。タイ側のカウンターパートは商業、工業、銀行の経済3団体の合同常任委員会(JSCCIB)。ジェトロがアジアの新興国と対日投資でMOCを締結したのは初めて。このMOCを締結することで、JSCCIBと連携して、有力傘下企業の発掘、タイから日本への投資増加を通じ、日タイ双方向のビジネス交流の活性化を目指す。

 覚書の内容は、①ジェトロとJSCCIBが連携し、タイで日本市場の魅力を伝える対日投資に関するセミナーの開催、②タイのメディアを通じてタイ経済界に日本への投資の魅力を発信、③日本に拠点設立を計画するタイ企業に対し、ジェトロの対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)を通じた情報提供と設立支援、④日タイ双方のビジネスを促進するための協力活動の実施。近年、タイ企業は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などのアジア広域経済圏構想を見据え、対外投資に目を向けつつある。タイは二〇一一、一二年に対外直接投資が対内を上回る「対外投資国」になっている。ジェトロは、ASEANの中でも、対外投資国に変貌を遂げようとしているタイと投資分野での連携をより深めることで、タイ企業の活力を取り込みながら、日本の地域経済の活性化に取り組む考え。

 覚書の署名式にはプラユット首相も立ち会った。有効期間は1年で自動的に更新される。ジェトロ・バンコク事務所の保住正保所長は、ASEAN諸国の中でタイの対外直接投資の拡大には目を見張るものがあるが、その多くは近隣諸国への投資であり、対日投資はまだ少ないと指摘。対日投資はまだ始まったばかりであり、今後の成長余地が大きいと述べている。ジェトロのデータによれば、タイ企業による対日投資は一九九八年に始まったが、当時の投資額はわずか300万ドルだった。その後の10年間で4000~8000万ドルに増え、現在は1億~1億3000万ドルの規模に達している。二〇一四年一~一一月のタイ企業の対日投資は9080万ドルを記録している。

 ジェトロは、タイからの対日投資で、すべての投資を歓迎するとしているが、タイ企業は食品、エネルギー、ホスピタリティなどの分野で専門技術を持っているとしている。また多くのタイ人観光客が日本を訪問しており、タイは日本にとってASEAN諸国の中では最大の観光客市場となっているため、観光旅行分野も高い可能性を持つセクターと考えられる。日本政府観光局(JNTO)によれば、二〇一五年一月にタイから日本への訪日客数は、4万4800人となり、前年同月比645・9%増を記録している。本来一月は訪日タイ人が1年で最も少ない月となるが、日本全体の一月訪日客数の伸び率29%と比較してもタイ人訪日旅行は好調に推移している。


日付 : 2015年02月23日

By : 週刊タイ経済

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