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ASEAN経済閣僚会議 経済統合で行動計画策定へ

 ASEANは八月二五~二八日、ミャンマーのネピドーで第46回ASEAN経済閣僚会議(AEM)、第12回AECカウンシル(AECC)や対話国との関連会議を開き、域内の貿易や投資の自由化について議論した。またサービス分野の一層の自由化で合意した。タイのサービス業がASEAN諸国でビジネス展開する機会が広がる。

 AEM、AECCの会議では、第24回ASEAN首脳会議以降のASEAN経済共同体(AEC)ブループリントの進捗状況を確認した。ASEANはAEC発足に向け、二〇一三年までの完了を目標としていた229項目の取り組みのうち82・1%を終了させている。二〇一五年までにAECを発足させるにあたって、最も大きな影響を及ぼす可能性のある優先分野の取り組みを急ぐことを二〇一二年プノンペン・アジェンダで決めている。

 第46回AEMでは、ASEAN経済共同体(AEC)の第1の柱である、単一市場と生産ベースの形成について、ASEAN各国の各種資格を加盟国で相互に参照するためのASEAN資格参照枠組(AQRF)に基づく取り組み、域内での医療機器へのアクセスを容易にするのに役立つASEAN医学機器ダイレクティブ(AMDD)の作成、サービス分野におけるASEAN枠組協定の下での第9次サービス自由化合意、ASEAN包括的投資協定(ACIA)改正条約の署名、従来の枠組協定にとって代わる会計職のASEAN相互認証アレンジメント(MRA)がなされた。

 チュティマー・ブンヤプラパサラ商業省次官は、第46回ASEAN経済閣僚会議で第9次のサービス分野自由化協定に署名した。180日内に効力を発揮することになる。ASEAN加盟国のサービス関連企業がタイでビジネス展開することが可能になる一方で、タイ企業もより多くの投資機会が得られる。第9次協定では、すべてのASEAN加盟国は、会計職、船舶予約、国際クルーズ、海上出荷サービス、オンライン情報サービスを含む101のビジネスを自由化する。同次官は自由化がタイ企業の競争力に影響しないと述べている。

 AECの第2の柱である、競争力のある経済地域の形成では、ASEAN加盟国は、ウェブポータル(www.aseancompetition.org)や各種パンフレット作成を通じて、域内経済の競争力の強化を支援している。また消費者保護のためのASEAN委員会は、域内で自発的に回収/禁止される商品の最新リストをウェブサイト(www.aseanconsumer.org)を通じて公開している。知的所有権協力におけるASEAN作業部会(AWGIPC)は、ASEAN・IRP行動計画(二〇一一~二〇一五)の実践評価に取り組んでいる。商標関連の行動計画を二〇一五年までにまとめるためのタスクフォースも設置した。このほか今年二月にはシンガポールで開かれたEU・ASEAN航空サミット(EAAS)でEU・ASEAN航空協力に関する共同宣言が採択されている。またASEAN通信監督協議会(ATRC)協力枠組も新たに設けられ、官民連携(PPP)の推進では経済協力開発機構(OECD)の支援の下、PPP枠組のためのASEAN原則の立案作業が進んでいる。

 AECの第3の柱である、公平な経済発展では、中小企業行動計画(二〇一〇~二〇一五年)の下でのイニシアチブの実行、ポスト2015行動計画の戦略的なビジョンやゴールの策定、日・ASEAN統合基金(JAIF)、ドイツ国際協力公社(GIZ)、貿易・投資を通じたASEAN連結に関する米国プログラムの下での技術援助の提供、中小企業支援でのASEANビジネス・アドバイザリー・カウンシル(ASEAN・BAC)との一層の協働、世銀支援による公平な経済発展のためのASEAN枠組(AFEED)モニタリング・レポート作成に取り組む。

 第4の柱であるグローバル経済への統合では、ASEAN・オーストラリア/ニュージーランド自由貿易地域(AANZFTA)協定を改正する第1次のプロトコルに署名した。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は5回のラウンド協議を経て前進を続けており、ASEAN・香港自由貿易地域貿易協議の開始も決定された。第46回AEMではASEANと対話パートナーとの自由貿易、経済連携に関連した取り組みの進捗状況も確認した。

 二七日に開催された第2回東アジア地域包括的経済連携閣僚会合には日本からも茂木敏充経済産業大臣が出席。これまでに実施された高級実務者レベルの貿易交渉委員会会合、物品貿易、サービス貿易、投資などに関する各作業部会における協議結果が報告されるとともに、今後の交渉の取り進め方について議論が行なわれた。RCEPはASEANの10か国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドが交渉に参加する広域経済連携で、一二年一一月のASEAN関連首脳会議で交渉開始が宣言されている。二〇一三年八月にブルネイで第1回閣僚会合が開催されている。

 茂木経産相は二七日の会合で、RCEPを、東アジア地域の経済の進展に対応し、かつ地域全体の競争力を高めるものとすべきだと表明。その上で、高いレベルを目指しつつも、各国の事情や主張を踏まえた現実的なアプローチで交渉を進めることを提案した。会合では、今年一二月に開催予定の次回交渉会合までに物品貿易のイニシャル・オファーを交換することに多くの国が賛同した。またサービス貿易や投資の自由化方式についても議論が進展し、電子商取引(EC)や中小企業を交渉分野に加えることで合意した。さらに二〇一五年末までにRCEP創設で合意するという目標を閣僚間で再確認した。


日付 : 2014年09月08日

By : 週刊タイ経済

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