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BOIの新投資奨励戦略 19日の本会議で原則を承認

 投資委員会(BOI)は八月一九日にプラユット・チャンオーチャー国家平和秩序維持団(NCPO)団長を議長に開いた本会議で、期間7年(二〇一五~二〇二一年)の「投資奨励戦略」案の原則を承認した。タイの経済構造の変化をもたらす工業の投資奨励を重視するもので、付加価値を国内で生み出すことで持続安定的な成長を目指す。合わせてタイの中小企業の振興、生産効率改善、南部国境県地域での投資振興の3つの振興措置も承認した。

 ウドム・ウォンウィワットチャイBOI事務局長によれば、新戦略の下での投資奨励の政策と原則は、すべての事業をカバーした「ブロードベース」から、明確なターゲットと優先順位付けを行なう「フォーカス&プライオリタイズド」に変更になる。新戦略に基づき投資奨励業種リストは見直しがなされ、タイの経済構造の変化を手助けし、国の所得増と長期持続的な成長をもたらす産業が重視される。投資奨励の業種は、これまで通り7グループに大別されるが、高度技術と高付加価値、研究開発または設計の有無が重視される。さらに環境にやさしいことも条件になる。投資奨励業種の7グループは①アグロインダストリー、②鉱物・セラミック・基礎金属、③軽工業、④金属・機械・輸送機器、⑤電機・エレクトロニクス、⑥化学・プラスチック・紙、⑦サービス・インフラ。

 投資奨励の恩典に関しては、業種別の恩典の「アクティビティ・ベースド・インセンティブ」と事業価値に基づく追加恩典の「メリット・ベースド・インセンティブ」の2種が設けられる。業種ごとに投資奨励の恩典は異なり、研究開発、高度技能開発、サプライチェーン開発、地方殖産など、国に利益をもたらすような投資や出費のある事業には追加の特典が付与される。このほかに新投資奨励戦略の下では、既存の投資ゾーン制度(投資1~3区)が廃止され、地域ごとの振興(ゾーニング)に変更される。地域に新たなクラスター(ニュー・リージョナル・クラスター)が生じるよう振興するもので、各地域のポテンシャルとニーズに、より合致した投資を生み出す。またバリュー・チェーンの強化を手助けすることになる。投資恩典はBOIが個別案件ごとに適切なものを定める。

 新戦略の下で、BOIはタイ国内への投資(インバウンド・インベストメント)のほかタイ企業の海外投資(アウトバウンド・インベストメント)でも重要な役割を果たしていく。タイの民間部門が、国内の資源面の制約を乗り越えて、新たな事業機会を模索していくために必要となる任務の一つで、中でもASEAN経済共同体(AEC)の発足と世界の舞台におけるタイの役割が拡大するなか、タイ企業の海外投資は今後、重要性が一段と増していく。ターゲットになる国は、第1グループがインドネシア、ミャンマー、ベトナム、カンボジア、ラオス、第2グループが中国、インド、その他ASEAN諸国、第3グループが中東、南アジア、アフリカ。

 ウドム事務局長は、中小企業の能力強化措置の原則が承認されたことを明らかにしている。ポテンシャルを強化し、世界レベルへと躍進させることが狙い。さらに生産効率改善のための投資奨励措置の原則も承認された。すでに活動済みの事業の追加投資を刺激することが狙いで、①省エネのための機械更新、②代替燃料使用のための機械更新、③環境負荷軽減のための機械更新、④生産効率向上のための機械更新、⑤効率改善のための研究、開発と工学設計面での追加投資が対象。

 ウドム事務局長が明らかにしたところによれば、南部国境4県とソンクラー県の4郡地域の投資奨励措置の原則も承認された。投資奨励の対象となるすべての事業をカバーするもので、パッタニ、ヤラー、ナラティワート、サトゥーン県全域とソンクラー県のチャナ郡、ナータウィ郡、サバーヨイ郡、テーパー郡での投資に対し、投資奨励を手厚くする。

 なお、この日の本会議では大規模投資案件15件、合計投資予定額にして400億バーツ超を認可した。代替エネルギー、自動車部品、ゴミ発電などの投資案件で、これにより政変後に発足したボードと小委員会による投資額2億バーツ超の大規模投資案件の認可件数は121件、合計投資予定額は3000億バーツ超に達した。この日の本会議は、六月八日にボードが設置されてから3回目の会議。この日認可された15件を合わせて、これまでに本会議と小委員会の会議で認可を受けた投資プロジェクトは121件、合計投資予定額は3188億3950万バーツとなった。この日認可された15件の合計投資予定額は405億3800万バーツ。


日付 : 2014年08月25日

By : 週刊タイ経済

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