ユーザー名 パスワード
クイック検索
キーワード

18日をもって非常事態宣言を解除 観光業界初め経済界は歓迎

 プアタイ党政府は三月一八日にナコンパトム県サムプラン郡のサムプラン警察士官学校で開いた閣議で、非常事態緊急勅令の適用に関する布告の取り消しを了承した。スニサー・ラートパカワット総理府副報道官が閣議後の会見で明らかにした。ただし、反政府派のPDRCによる政治集会は現在も続いていることから、国内の治安に影響を及ぼす事態はなお続いていると判断、バンコク都、ノンタブリ県、パトゥムタニ県ラートルムケーオ郡とサムットプラカン県バンプリー郡を対象に、治安維持法を二〇一四年三月一九日から四月三〇日まで適用することを決定した。

 スラポン・トーウィチャックチャイクン副首相兼外相は一九日、バンコクに大使館を置く各国の外交官や国際機関の代表を外務省に招いて、非常事態宣言解除の説明会を開いた。会議にはオーストラリア、スペイン、ベルギー、欧州連合、ドイツ、ロシア大使、その他各国の公使などが出席した。スラポン外相は、同日付けで発動した国内治安維持法についても、政治騒動が収まれば期限よりも前に解除できると説明している。ただし政治危機が再燃する場合には、非常事態宣言が再導入される可能性もあることを付け加えている。

 スラポン外相はタイを離れていた投資家や観光客には戻ってきてほしいと訴えている。タイは、まだ投資に値する興味深い国であるはずだとアピールしている。外相はまた、タイの政局について最新情報を提供するため、近く中国、日本、韓国を訪問する計画も示している。

 非常事態宣言でタイを訪れる外国人観光客が減り、大きな打撃を受けていた観光業界は、この決定を歓迎している。業界では外国人観光客が1、2か月以内にタイに戻ってくるものと期待している。また非常事態宣言で投資意思決定を先送りしていた外国人投資家も投資を再開するものと期待されている。ただし産業界は経済全般に関し、非常事態宣言に至った政治対立が解消しない限り、容易には回復しないとの認識を示している。

 観光業界は、海外からの観光客を迎え入れるインバウンドの業者が、非常事態宣言解除で恩恵を受けることに疑いの余地はないとする。特に政治情勢の悪化に敏感に反応する日本や中国からの観光客が回復しそう。タイに対する外国人観光客の信頼感の回復に寄与する。非常事態宣言期間中は、保険会社が旅行保険の引き受けを拒否することもあり、観光客の不安感を高める結果になっていた。一部の外国政府は、非常事態から国内治安維持法適用への移行に対し、用心深い姿勢をとっており、自国民のタイへの渡航に対する警告のランクを引き下げるのには、少なくとも1週間から10日間、情勢を様子見する必要があるとする国もある。地方では赤シャツ派による集会も開かれており、強硬派による軍との対峙姿勢も見られる。赤シャツ派の活動が過激なものになれば、タイの観光イメージは損なわれる。

 観光業界は、非常事態宣言の解除後、大きな衝突や爆弾事件などが多発しなければ、ソンクラーン祭りを楽しみにする外国人観光客の流入で観光業は景気づけされると期待している。タイ・ホテル協会によれば、現時点ではソンクラーン期間のホテル予約は低調。ソンクラーン期を除けば、タイの観光業はローシーズンに入っており、外国人観光客の数は少なくなる。非常事態は解除されたものの、タイの観光シーンにどういった変化があるのかについて、政府機関から明確なメッセージが伝わってこないため、ある業界関係者は、観光業はまだ曇天の中を漂っていると評している。

 タイ商業会議所のカリン・サラシン事務局長は、投資家の信頼感が回復するものと期待している。非常事態が宣言されて以降、多くの外国企業はタイへの出張や視察を取りやめており、事業計画も延期が続出していた。非常事態の解除で多くの外国企業がタイでのビジネスを加速させそうで、タイの経済成長を押し上げる効果も期待されている。外国人合同商工会議所のスタンレー・カン会長は、非常事態の解除を歓迎し、タイを訪れる外国人ビジネスマンや観光客の信頼回復を期待しているとコメントしている。

 ある証券会社の幹部は、株式市場も恩恵を受けると指摘している。タイ証券取引所(SET)では、株式公開を予定していた企業が、IPO(新規株式公開)の時期を先送りしていた。


日付 : 2014年03月24日

By : 週刊タイ経済

登録