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週刊タイ経済
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日産が「リーフ」発売へ
販売価格は199万バーツ

 バッテリー電気自動車(BEV)の市場が動き始めた。政府の奨励政策に呼応したタイ国内での組立は、日本のベンチャー企業FOMM1社が認可を受けているだけだが、輸入販売の動きが広がりつつある。日産自動車タイランドのアントワン・バルテス社長は28日、タイランド・モーター・エキスポ2018の自社ブースで、電気自動車(EV)の「リーフ」の最新モデルを披露した。合わせてタイでの小売価格が199万バーツになることを明らかにした。
 リーフは日産が2010年から日本や米国で販売している5ドアハッチバックで、世界で最も売れているEV。日産本社は来年3月に期末を迎える今年度中にアジア・オセアニア市場に投入する計画を立てていた。この地域では最初に韓国で販売を開始しており、タイは2番目になる。その後オーストラリアでも発売する予定。
 日産自動車タイのセールス担当副社長は、政府機関、住宅プロジェクト、一般顧客の3つのグループに売り込む考えを示している。販売目標台数は明らかにしていない。
 乗用車の輸入には80%の関税が課されるが、日タイ経済連携協定(JTEPA)を活用することで輸入関税率は20%に下がるほか、物品税も8%に優遇される。それでも日本での最安値モデルの小売価格315万円(約89万6000バーツ)の倍以上になる。
 今年のモーター・エキスポでは現代自動車もBEV「コナ」を出品しているが、タイでの販売の予定は今のところない。ただしヒュンダイは「アイオニック」をすでに輸入販売している。小売価格は179万9000バーツ。また起亜はBEVの「ソウル」を輸入販売しており、小売価格は229万7000バーツとなっている。
 日産は今年7月に投資委員会(BOI)からハイブリッド車(HEV)生産で投資奨励認可を得ているが、BEVをタイで生産する計画は発表していない。BOIはプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)とBEV生産の特別優遇策を導入しており、投資申請の期限は今年12月28日となっている。タイの自動車市場の9割近くを占める日本車勢は、HEV生産で認可を受けているが、BEVの生産で認可を受けているのはベンチャー企業のFOMMのみ。BEV生産でBOIの投資認可を受ければ、市場形成のため完成車の無税輸入が認められるほか、物品税も2%に優遇される。

タイ中銀の月例経済金融報告
11月30日の発表より

 10月のタイ経済は前月に比べて上向いた。国内外の需要が牽引した。民間消費は伸びが加速し、民間投資と物品輸出はプラス成長に戻した。それにともない工業生産も拡大した。しかし外国人観光客数はわずかながら収縮した。主に中国人観光客が減少した。一方、政府支出は微減となった。主に経常的経費の支出が減少した。
 経済安定性については、一般インフレ率は低下した。主に生鮮食品物価が下落したことによる。コア・インフレ率も前月から低下した。季節調整済みの失業率は前月から横ばい。経常収支は貿易黒字の減少を受け黒字幅が縮小した。資本収支は出超となった。
 10月の景気動向の詳細は次のとおり。
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 民間消費の指標は前年同月比での拡大基調が続いている。全ての支出カテゴリーで消費が増えている。支援材料は購買力が全体として上向いていることで、非農林水産業の主要分野における被雇用者の収入が拡大した。例外はサービス業で横ばいとなっている。農林水産業の家計の所得も拡大に転じた。主に収量の増加によるもので、農産物価格は依然として下落している。ただし改善する方向にはある。
 民間投資の指標は前年同月比で上昇した。ほぼ全ての指標が上昇している。設備投資の指標では民間部門の資本財輸入、国内機械販売台数、商用車の登録台数が伸びている。建設投資の指標では、建材販売高の指標が伸びている。民間投資は季節調整済みの前月比で増加に転じている。建材販売数量の増加から主に建設投資が前月比で拡大した。
 移転金を除く政府支出は前年同月比でわずかに収縮した。経常的経費の執行額が資材・サービス調達と人件費で減少したことが響いた。投資的経費の執行は増加した。国道局の建設費、警察庁の航空機保守と車両調達での予算執行が寄与している。
 物品輸出額は前年同月比8・4%増となった。金地金を除いた輸出額は7・0%増。前月は日本など多くの貿易相手国で台風被害が発生したことによる一時的な影響からタイの物品輸出額が収縮していたが、プラス成長に回復した。前月に台風被害を受けた国への電子製品の輸出が増加に転じた。米国による中国製品に対する追加関税の徴収が明確になったことを受け、同措置の発動を前にした中国向けの駆け込み輸出も生じ、特に化学薬品や天然ゴムの輸出が伸びた。このほかにも多くの物品の輸出が拡大している。石油価格に連動して輸出価格が変動する製品群では石油製品と石油化学製品の輸出が伸びた。農産物は貿易相手国の需要が堅調に推移しているコメの輸出が増えた。アグロインダストリー製品では主に砂糖の輸出が増えた。機械機器分野では農機の輸出が伸びている。民間消費の拡大と物品輸出の増加を受け、工業生産は拡大した。特に自動車、砂糖を初めとする食品・飲料、石油製品の生産が増えた。
 外国人観光客数は前年同月比0・5%減となった。中でも中国人観光客は19・8%減となった。プーケット県での観光船沈没事件の影響で、中国人観光客の信頼感が完全には回復していないことに加え、中国経済に減速の兆しが出てきたことが理由と考えられる。いずれにしてもマレーシア、香港、日本、韓国などの観光客市場は順調に拡大している。10月の外国人観光客数は季節調整済みの前月比で減少した。中国人観光客が減少したほか、マレーシアからの観光客もこれより前の時期に大幅に増加していた反動から減少に転じた。
 物品輸入額は前年同月比で13・3%増となった。金地金を除いた場合でも13・3%増。多くの物品カテゴリーで輸入は増加した。原材料・中間財では原油、石油製品、金属、電子部品の輸入額が増えた。消費財は非耐久財と耐久財の双方で輸入が増えた。民間消費が拡大していることに一致した動き。自動車・同部品では乗用車と部品の輸入が増えている。国内の新車市場の拡大が寄与している。資本財では通信とエネルギー分野の機械機器の輸入が増えている。これらの産業分野における投資拡大に沿ったものである。
 経済安定性に関しては、一般インフレ率は1・23%となり、前月の1・33%から低下した。野菜・果物の価格下落にともない主に生鮮食品価格が下落したことが響いている。コア・インフレ率も前月に比べて低下した。前年にタバコの物品税が引き上げになったことによるハイベース効果が一因。失業率は季節調整済みの前月比で横ばい。経常収支は黒字額が縮小した。貿易黒字の縮小が主因。資本収支はネット・アウトフローとなった。タイ企業による海外直接投資での資本流出に加え、タイ人投資家による海外証券投資でも流出した。またグローバルな株式市場の状況に沿って外国人投資家はタイ株を売り越した。このほか預金引き受け金融機関による外為ポジション調整のための短期借入外貨の返済もあった。

米中貿易戦争で
1億ドル超の輸出増
商業省試算

 ピムチャノック・ウォンコーポン商業政策戦略事務局長は21日の貿易統計発表会見で、米中貿易戦争がタイの物品輸出に恩恵をもたらし、輸出額を1億4600万ドル増やす効果があったとする試算を示した。
 同事務局長によれば、米国が中国製品に追加関税をかけたことで、米国の輸入者がタイからの輸入を増やしている。自動車・同部品のタイから米国向けの輸出は10月に前年同月比26・1%増加し、鉄鋼製品の輸出は同89・2%増えている。
 同事務局長は米中貿易戦争が短期的にはタイに利益をもたらしているものの、長期的には貿易、投資、株式市場、資本移動など多くの分野で負の影響をもたらすことを認めている。貿易戦争が拡大すれば、投資家は大規模な投資に消極的になり、株式市場は動揺が激しくなる。またタイの中国向け輸出では、10月に自動車・同部品の輸出額が前年同月比12%減少し、コンピュータ・同部品の輸出は同18・4%減少している。

年末ショッピング減税実施
中国正月期はVAT還付

 アピサック・タンティウォラウォン財務相は27日、近く閣議決定を予定している年末のショッピング減税について、対象商品をタイヤ、書籍、地方特産品などに限定する考えを明らかにした。また30日には、来年2月の中国正月期の消費刺激のため、2万バーツを上限として買い物代金の付加価値税(VAT)還付も打ち出した。
 ショッピング減税では、タイヤは国産のものに限定、書籍は電子書籍でも構わない。地方特産品は1タムボン1産品(OTOP)商品が対象になる。
 ショッピング減税は2015年に年末の7日間限定で初めて導入され、消費刺激の効果を上げた。16年には18日間で導入され、昨年は時期を早めて11月半ばから12月3日までの23日間にわたって実施されており、今年も実施されれば4年連続となる。財務相によれば、今年は12月半ばから来年1月半ばにかけての1か月間に、対象商品を購入した代金を課税所得から控除することを想定している。所得控除の上限は1万5000バーツ。昨年はアルコール飲料、タバコ、自動車、自動二輪車のみが対象外だったが、今年は対象品目を大幅に絞り込む。タイヤは原料となる天然ゴムの需要増、書籍は読書の奨励、地方特産品は地方経済の活性化を期待している。
 一方、来年2月1日から15日までは、買い物代金にかかるVAT7%のうち5%を還付する消費刺激策を導入する。年末の減税とは異なり、VATが課されている全ての商品・サービスを対象にする。2月5日の中国正月に合わせた刺激策。
 銀行のオンライン送金「プロムペイ」とリンクした口座のデビットカードでの支払いのみがVAT還付の対象になる。この措置による政府の税収減は60~70億バーツ。アピサック大臣は、VAT還付が消費を刺激し、来年の経済成長率を4%増以上に保つことを期待していると述べている。
 VATの5%還付は3月15日までにプロムペイを通じて実施される。消費者の利用を容易にするため、デビットカード機能がついていないATMカードの機能追加にあたって銀行には手数料をとらないよう要請する。

バッテリーEV生産
メルセデスベンツ検討

 メルセデス・ベンツがバッテリー電気自動車(BEV)のタイでの生産を検討している。すでにタイ現地法人を通じて、プラグイン・ハイブリッド車とリチウムイオン・バッテリーの生産で投資委員会(BOI)の投資奨励認可を受けているが、BEVの生産も視野に入れている。
 BOIが設けている電気自動車生産に対する特別優遇プログラムは今年12月28日が申請期限。メルセデス・ベンツ・タイランドのローランド・フォルガー社長は、まだ投資申請はしていないが、BEV生産を検討していると述べている。

最近の更新 2018年12月11日
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