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■ タイにおける求人求職の状況

  経済通貨危機の少し前、1996年末ごろから求職者が急増してきましたが、経済危機直後には内需関連企業を中心に大規模な解雇が行われたことなどから失業者は増大しました。経済危機による雇用削減は、女性よりも男性に、農村地帯よりも都市部の賃金労働者に大きな影響を及ぼしました。

  タイの失業率は、1995年1.7%、1996年1.5%、1997年2.2%と低水準で推移しましたが、98年は通貨危機の影響が顕在化し、国内景気の後退に伴う生産の低下、企業倒産の増加等により雇用・失業情勢が悪化した結果、1998年の失業率は4.0%、1999年は4.5%と上昇しました。1997年に50万人だった失業者数は、1999年には138万人に達しました。しかし、その後産業の輸出関連へのシフトや国内景気の復活に伴う生産の増加、自動車関連業界、電子部品および精密部品業界、食品業界などの製造業において、東南アジアでの生産拠点となり求人が増加したため、2000年以降は減少しています。実際、シンガポールやマレーシアから生産拠点をタイに移す企業も増加しています。

  一時期、日本ではタイより人件費の安い中国への移転や投資が話題になりましたが、2005 年に中国で起きた反日デモなどの影響もあり、政情や治安などの面でより安定しているタイを選ぶ企業も増えてきており、それに伴う求人も増加しています。

【企業による求人活動】

  企業による求人活動は、雇用事務所における求人、民間の職業紹介機関の利用、新聞その他メディア(求人情報誌、フリーペーパーなど)を通じた求人、及び企業による張り紙広告や求人サイトへの掲載などが一般的です。

  英語力のある人材を確保するため、タイのクオリティーペーパーと言える英字紙の Bangkok PostやNationなどの新聞に広告を出すケースも多いですが、近年は日本同様、求人サイトへの募集広告の掲載など、インターネット経由の募集も増えています。また、採用する人材の初任給2ヵ月分くらいの手数料がかかるものの、優秀な人材を採用するために人材紹介会社を使う場合も多い。

  また、タイでは、会社の従業員など、人からの紹介による縁故採用が多い点も特徴です。信用のある人からの紹介の場合、ある程度身元のしっかりした従業員を長期雇用できる可能性が高いため、タイで有効な採用方法の1つです。ただし、この場合、社内に派閥やグループを作る事にもなり、タイ人は自分より優秀な人を同じ職場に置きたがらない傾向がある点も知っておいたほうがいいでしょう。また、紹介した従業員が辞める際に一緒に他社に転職してしまう、紹介者の転職後に引き抜かれてしまうといった問題も出てくる可能性もあります。

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